〜体験版『不特定多数の男の肉便器にされていた愛妻(本文の一部を抜粋)』〜



「私……私は、もうあなたには会えません」
 思い切って切り出す。
 そう、私は原田との関係を清算するために来たのだった。
 私は、人妻だ。
 幹夫さんと永遠の愛を誓い合った間柄なのだ。
 一度、過ちを犯してしまったが──いや、過ちを犯してしまったからこそ、もう二度とあんなことを繰り返すわけにはいかなかった。
「別れたい、ってか」
「別れるも何も──」
「おいおい、俺とあんたはもう他人じゃないんだぜ。この間のこと、綺麗さっぱり忘れちまったんじゃないだろうな?」
「あれは……その……」
 痛いところを突かれ、私は口ごもった。
「お酒のせい……です」
 辛うじて、それだけを口にした。
「酒のせい? かぁーっ、酒飲んで酔っ払ってたら、浮気しても許されるのか」
「…………」
 私は返す言葉もなかった。
 たとえどんな理由があったにせよ、私が彼と寝たことは事実だ。
 どうしようもなく馬鹿なことだった、とあれ以来、毎日後悔している。できるなら時間を巻き戻し、あの日の私を止めたい。
 この男との間にあった忌まわしい出来事をすべて消し去りたい。
 そんなことばかりを考え、今日までの時間を過ごしてきた。
「お、お願いです……終わりにしてください。私は、夫との生活を壊したくないんです」
「別にあんたの夫婦生活を壊そうなんて思っちゃいないさ。俺だってあいつの後輩なんだ。そこまで馬鹿な真似はしない」
 ふーっ、と原田が煙草の煙を吹きかけてきた。
「ただ、何もなしに『この間のことは終わりにしてください』じゃ通じねえよな。それなりの見返りってモンがないと」
 原田がいきなりズボンを脱ぎだした。
「うっ……」
 私は思わず息を飲んだ。
 明るい光の下で見るペニスは、グロテスクだった。夫のモノでさえ、こうしてまじまじと見たことはない。
 そもそも幹夫さんと交わるときは、恥ずかしくてほとんどずっと目を閉じているのだ。
「しゃぶれ」
 命令され、私は硬直した。
 男性器を口でくわえて愛撫する──いわゆるフェラチオという行為を、私はほとんどしたことがない。
 夫とのセックスで何度か頼まれたことはあるが、どうしても気持ちが悪くて、短時間でやめてしまったのだ。
「しゃぶるんだよ、美穂」
 原田が鼻を鳴らして、ふたたび告げた。腰のあたりで、長大なペニスがぷるん、と揺れている。
 私に拒否権はなかった。
 両肩を震わせ、屈辱に打ちひしがれながら、私はその場にひざまずいた。


 ──もう、いや……こんなことまでさせられるなんて──


 絶望感すら込み上げてくる。
 饐えた匂いを放つ先端に、おそるおそる顔を近づけた。近づけば近づくほど、ペニスからの匂いがより強く嗅ぎとれる。
 鼻先にツンとした生臭い匂いが漂い、吐きそうになった。
「ううっ……」
「どうした、早くくわえろ」
「だって……」
 夫のペニスを口に含むのとはわけが違う。
 そもそもフェラチオという行為が、私はどうしても好きになれなかった。
 幹夫さんに、どうしても、とせがまれたときにはするが、自発的に彼のモノをくわえたことは一度もない。
 まして、愛してもいない男の器官を口に含むなど、あまりにもおぞましい行為だった。
 私はやむなく口を大きく開き、赤黒い先端部をくわえた。舌の先をぴりっとした塩味が刺激する。
 サオ部分の半ばまで飲み込んだところで、男が腰を前にせりだした。
 喉の奥まで、一気に突きこまれる。
「んんんっ!」
 口の中いっぱいをペニスに占領され、私はあえいだ。
「んんっ……は、むっ」
 男が突きこんでくる動きに合わせ、私の舌がうねる。
 半ば無意識の動きで、必死に舌をペニスの胴体部に絡みつかせた。
 先日まで夫以外の男を知らなかった私には、フェラチオの要領もよく分からない。ただ、とにかく夢中だった。


 ぐちゅっ……ぐちゅっ……ぐちゅっ……


 私の口腔を野太いモノが出入りし、そのたびに唾液の水音が大きく鳴った。
 いやらしい響きに私は赤面した。
 唾液の音によって、夫以外の男のペニスに口で奉仕しているのだ、という事実を再認識させられる。
 頬がカーッと熱くなった。
「へへへ、慣れてないみたいだけど、それはそれでいい感じだぜ。ウブっぽいほうが教えがいもあるしな」
 原田は心地よさそうにうめきながら、腰を揺らす。やがて、口の中でペニスが小刻みな振動を起こした。
「そうら、イクぞ」
 原田のペニスが私の口中ではじけた。
 ドクドク、と熱いほとばしりを、口内に注ぎ込まれる。
「んっ……ぐぅっ……」
 スペルマを飲み込まされたのは初めてのことだった。
 信じられないほど苦い味に、私は激しくむせた。その場にうずくまり、床のうえに唾液と精液の入り混じったものを吐き出す。
 そのとき、突然声が響いた。


「すげぇ。なんていやらしいんだ」
「浅川の奥さんって、こんなに美人なのか」
「僕、もうたまらないっすよ」


 リビングのドアが開き、複数の男たちが入ってくる。
 私は呆然となって振り返った。
「だ、誰です、あなたたちは──」
「会社の連れだよ。あんたのことを話したら、みんな喜んでな」
「そんな! この間のことは誰にも言わないって──」
 私は全身から血の気が引くのを感じた。
 あらかじめ押入れかどこかに隠れていたのだろう。
 リビングに入ってきたのは合計で五人。
 原田の口ぶりだと、いずれも夫と同じ会社の人間らしかった。
 そのうちの一人には見覚えがある。
 一度、夫が飲み会の帰りに家まで連れてきたことがあったのだ。
 確か、松山という名前の後輩社員だった。
 今年入社したばかりだとかで、女の子と見まがうような可愛らしい童顔をしている。
「へへへ、俺だけじゃなくこいつら全員の口を封じる必要があるよなぁ」
 原田に言われ、私はうつむくしかなかった。
 男の放った蜘蛛の糸に、がんじがらめに絡み取られたことを悟る。


 逃げられない──


 静かな諦念が、私の心を覆い尽くしていく。まさか、会社中に言いふらすとは思っていなかった。
(だめ、このままじゃ)
 私は諦めそうになる気持ちを必死で奮い立たせた。諦めたら、本当に彼ら全員のオモチャにされてしまう気がした。
 キッと顔を上げ、最後の反撃を試みる。
「あ、あなただって会社での立場が危うくなるわよ」
 私は後ずさりながら、原田に言い放った。
 ここで気力を折るわけにはいかない。
「なかなか気丈な奥さんだ。だけど安心しろよ。俺がこの間のことをバラしたのは、ここにいる連中だけだ」
 原田が笑う。
「あんたのご主人と違って、出世コースからは外れた人間ばかりでね。会社での評判を気にする奴なんてひとりもいやしないよ」
 周囲からいっせいに笑いが漏れる。


 不気味な哄笑に囲まれ、私の絶望感はさらに深くなった。


 ブラウスを脱がされ、ブラジャーに包まれた胸元をあらわにされた。Fカップのバストがぷるん、と揺れる。
「へえ、ぷりぷりじゃねえか」
「たまらねぇな。浅川の奴、こんな綺麗な奥さんと毎晩……」
 ゴツゴツとした手が私の体を這いまわった。
 おぞましさのあまり鳥肌がたつ。
「僕も、先輩みたいに美人の奥さんがほしいです」
 松山がきらきらと目を輝かせて、私の全身に食い入るような視線を注いでいる。
 もしかしたら女性経験がないのかもしれない。
 震える手が私の乳房をつかんだ。






……体験版はここまでです。
続きは製品版にてお楽しみください。

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